マインドマップ(mind map)が勉強に向いているのは、たった一つの用途です。ある話題の各要素がどうつながっているかを整理することです。暗記には向きません。マインドマップに失望する人の多くは、この二つ目の用途で使っています。
根拠はかなりはっきりしています。自分で組み立てた構造に内容を整理すると、学習に効きます。これは生成効果と呼ばれ、学習研究の中でも裏付けの強い知見の一つです。ところが、できあがったマップを眺めるのは、どれだけ見栄えがよくても読み直しです。読み直しは、勉強法の中でもほぼ最も効果が低い部類に入ります。マップは作るもの、思い出すことは練習するものです。
そこで、以下の方法ではあえて不完全なマップを作ります。完璧に埋まったマップは、自分をテストする道具として使えなくなるからです。
見出しではなく問いからマップを作る
よくある失敗は、教科書をなぞったマップです。中心に章名、枝に節の見出し、葉に箇条書き。これは目次を放射状に描いただけです。1時間かけても、章の構成が頭に入るだけです。
枝のラベルは、問いにします。
- 「原因」ではなく「Xの原因は何か?」
- 「比較」ではなく「XとYはどう違うか?」
- 「限界」ではなく「これが成り立たなくなるのはいつか?」
問いの枝はテストできます。子の部分を隠して、答えられるか試せばいいからです。名詞の枝はできません。眺めて「見たことがある」と感じるだけで、その感覚こそが、準備不足のまま試験に臨ませる原因です。
4本の枝の骨組み
ほとんどの話題は、次の4本で始められます。大事なのは4本目です。
- 定義 — 正確に言えなければならない用語。この枝は短くします。30項目もあるなら、全部が定義ではありません。
- 仕組み — 物事が実際にどう動くかを、順を追って。最も深くなるべき枝です。
- 関係 — 何が何につながり、何が何の原因で、何が何と矛盾するか。子ではなく、枝をまたぐリンクで表します。
- 例外とエッジケース — 一般則が成り立たなくなるところ。試験の問題は不釣り合いなほどここに集まりますが、講義スライドから作ったマップにはほぼ必ず抜けています。
手順
1. まず記憶だけでマップを作り、そのあと確認する
本を閉じます。資料を見ずに、思い出せることだけで20分かけてマップを作ります。穴だらけになるはずです。
そのあとで資料を開き、抜けた部分を別の色で埋めます。その色が、自分が知らなかったことのマップになります。勉強の時間が生み出せる情報として、これが最も役に立ちます。多くの人は本を開いたままマップを作るので、この手がかりを丸ごと失っています。
2. 葉は数語にとどめる
文章まるごとのラベルは、すでに答えを書いてしまっています。つまり、二度とそれで自分をテストできません。3〜4語がちょうどいい大きさです。その考えを特定するには足りて、述べるには足りない長さです。
ノートから書き出したマップがうまくいかないのも、同じ理由です。ノートは文章です。文章でできたマップは、形の悪いノートにすぎません。
3. 枝をまたぐリンクをどんどん張る
試験での価値は、枝そのものよりも枝同士のリンクにあります。「この仕組みがあの例外の理由だ」という関係は、まさに問題が試そうとする種類のつながりで、直線的なノートでは表現できません。
1時間たってもリンクが一本もないなら、作ったのはマップではなく階層構造です。その話題には、まだ気づいていないつながりがほぼ確実にあります。
4. 折りたたんで思い出す
これが勉強の本番で、マップの元が取れるところです。すべての枝を第1階層まで折りたたみます。その下にある内容を、声に出すか紙に書いて再現してみます。展開して答え合わせをします。
これを3日後に、さらにその1週間後にもやります。自分で作った構造に対する間隔をあけた想起は強力な組み合わせで、マップだけ、フラッシュカードだけよりずっと効果的です。
枝を折りたたんで、また開く。これが勉強のループのすべてで、ここではワンタップです。進捗が枝ごとに積み上がるチェックボックスで、話題ごとにどれだけ思い出せたかが分かります。ドラッグしたくないときは、アウトラインビューでリストを打てばマップになります。
できること5. 弱いところをフラッシュカードにする
思い出せなかった部分に必要なのは、構造ではなく反復です。そのノードを、使っている間隔反復ツールに移します。
ほとんどのマインドマップアプリはMarkdownかOPMLで書き出せます。どちらもプレーンテキストなので、数分でカードのデッキに整えられます。うまくいく役割分担はこうです。理解にはマップ、暗記にはカード。 一つの道具に両方をやらせると、密すぎて読み取れないマップと、文脈のないカードができます。
題材別のマップの作り方
手順や時系列には、放射状ではなく直線やタイムラインのレイアウトが向きます。手順を放射状に描くと、肝心の順序が失われます。
比較には、マトリクスのレイアウトか、基準ごとに1本の枝を立てて選択肢をその子にする形が向いています。つい選択肢ごとに枝を作りがちですが、それは誤りです。比べるために二つの枝を同時に頭に置かなければならなくなります。
判例や事例には、固定の枝を使います。事実、判決、理由づけ、反対意見。試験の答案の材料になるのは理由づけの枝です。
公式と導出:マップには、各公式をいつ使うかと、各項が何を意味するかを置きます。導出そのものは紙の上でやるものです。順番に書く必要があるものに、マインドマップは向きません。
マインドマップが向かないもの
丸暗記のリスト。語彙。周りに構造のない事実が答えになるもの、たとえば年代、人名、薬の用量、不規則動詞。これらはすべて、間隔反復のほうがマップよりはるかに効果的で、差は僅差ではありません。
また、マップは練習問題の代わりにもなりません。マップは話題がどう組み合わさっているかを教え、過去問は出題者がそれをどう使うかを教えます。両者が食い違うなら、正しいのは過去問で、マップに新しい枝が必要です。
グループ学習について、手短に
みんなで一つのマップを作るのは、1時間の使い方として悪くありません。理由はマップそのものとはあまり関係なく、ノードをどこに置くかで意見が割れるのは内容について意見が割れているということで、それがすぐに表に出るからです。置き場所について全員が黙るときは、たいてい誰も理解していません。
枝ごとに分担して、最後に統合し、それぞれが自分が書かなかった枝を思い出してみましょう。